Twitterのフォロワーに一様分布を依頼してみた

はじめに

こんにちは、カンムでバンドルカードの機械学習部分を担当しているfkubotaです。先日、Twitterでこんな感じのアンケートを取ってみました。

f:id:kanmu-tech:20210528204802p:plain

このアンケートの面白いところは、回答者は回答しないと現在の投票成績が見えないというところです。参加者は、「1を取る人が多いハズ、、、であれば2,3,4か?」とか裏を取ろうとします。裏の裏を取ろうとする人もいるでしょう。我ながらTwitterの投票システムを利用した面白い実験だったと思います。

結果はこんな感じ。

951票もいただきました。ありがとうございます。m(_ _)m

そんでもって

もちろん、面白い実験をして、あー面白かったで終わらせるつもりはなく、結果を考察するまでがこの実験の目的です。ちなみにみなさんは、上の結果を見て一様分布だと思いますか? 「全ての数字が同じではないから一様分布ではないよ」という意見もあれば、「まあこの程度の違いなら誤差だと思うよ」という意見もあるでしょう。このあたりどう議論すればいいでしょうか? 多少の誤差とは言いますが、どこまでが許せてどこまでが許せないのでしょうか? やっぱり定量的に賢くやりたいですよね。こういったときに使えるのがいわゆる統計学です。いろいろ手段はあると思うのですが今回は、統計的仮説検定というやつを使ってみます。統計的仮説検定がよくわからない人は、「検定 サイコロ」とか「検定 コイン」とかでググると簡単な例が出てくるので目を通すと良いかもしれません。この記事では、できるだけ検定がわからない人にもわかるようにも書きますが、事前に勉強しておくとより読みやすいと思います。 一様分布っぽさがふわふわしていて定量的にあつかえないもどかしさは、検定という手続きをつかえば定量的に扱えるという事が伝えられたら嬉しいです。

適合度検定

適合度検定(解説はこの記事とか)というのを使います。この検定はある事象がa:b:c:dで起こる時に実験値とのズレが誤差の範囲内であるかどうかを検証する時に使います。今回の場合は、アンケートの結果が一様分布になるはずだという仮説1:1:1:1に対して、実験結果は%で25:18:26:30になっており、投票数は238:181:247:285となっています。これが誤差の範囲なのかそれ以上に意味のある結果なのかを検証します。

計算するにあたりこちらのサイトを利用しました。
今回の条件数は4、観測度数はそれぞれ、238, 181, 247, 285であり、帰無仮説(一様分布である)のもとでの確率は1/4, 1/4, 1/4, 1/4となっているので、そのように入力して計算しました。また、有意水準は5%としています。 結果は以下のようになりました。

統計検定量χ2 = 23.2965
有意水準に相当するχ2の値 = 7.81743
p値 = 0.000035025

適合度検定はχ2検定で片側検定ですので、統計検定量χ^2有意水準に相当するχ^2の値 を上回っていることにより帰無仮説は棄却されます。p値についてちょっと解説すると(怖い...) 、今回の「アンケート結果は一様分布に従う」という帰無仮説が正しいとした場合、今回の結果は、0.0035%程度の確率で起こるよということを示しています。一様分布が正しい分布の場合でも今回の実験結果は起こり得る、ただし「0.0035%という低い確率」でということになります。あまりにも起こる低い確率で起こるのであればそれは仮説が間違っていると考えるのが自然だよね。であれば、5%までは許して5%以下の確率で起こる場合は、仮説が間違っていると考えようということで、有意水準5%を設定しています。

今回の結果としては、仮説が棄却されたので、検定の手続き上ではアンケート結果はどうやら一様分布ではないようです。「一様分布にして」とお願いしたので、一様分布にしようと参加者がいろいろ戦略を立てて投票しその戦略が偏った(似たような戦略を取る人が多かった?)結果なのかなと考えてみたりしました。ただこれ以上のことは今回の検証では何も言えません。今回の適合度検定で言えることは、「一様分布ではなさそう」というところまでです。「適当に投票して」というアンケートだと結果は変わったのかな?と思ったりもしました。

ちなみにどの程度であれば棄却されなかったのかと数字を少し変えて遊んでみたところ、 238, 181, 247, 285238, 230, 247, 285 にしたところ棄却されませんでした。
僕には285の数字がまだ大きく見えて一様分布には見えないなぁと思うのですが、適合度検定にはこれが一様分布に見えるようです。黙って従います。

今回の実験の背景

今回、なぜこのような実験をしようと思ったのか少し話ます。
弊社カンムはバンドルカードというサービスを開発していて、日々新しいデータが大量に入ってきます。僕自身、機械学習を担当しているということもありあらゆるデータに日々触れています。その時、もっとこうしたら良いんじゃないか?とかこれはどう説明できるだろうかなど仮説を立てて検証をしたくなることがあります。しかし僕自身この辺りの知識・業務経験に乏しくて、うまく扱えず歯痒い思いをよくしています。目の前にこれだけ質の高いデータがあるのに自分の力不足のために活用できないのはもったいないなと思い、最近はもっぱら統計的因果推論とか言われる分野を勉強しています。そして、ただ本を読むだけだと退屈だということで第一弾として簡単にできる検定をやってみたという次第です。アンケートご協力頂いた方、とても楽しかったです。ありがとうございました。

次回は、もう少し複雑な統計学の知識を使った分析をやりたいと思います。

お決まりですが

上記にもあるように、もっともっと輝けるのに力を発揮できずに眠ってしまっているデータが弊社には大量にあります。そのデータを統計学などのデータ分析の知識を生かしてさばけるデータアナリストを募集しています。僕もたくさん勉強してこのあたりも少しずつできるようになりたい。
一緒にやりませんか?

https://kanmu.co.jp/jobs/data-analyst/

僕は、2021年2月に入社してからもうすぐ4ヶ月が経ちますがとても入社してよかったなと日々思います。
なによりデータ、テクノロジーに対するリテラシーが高くデータ分析をする身としては、非常に働きやすく何より楽しいです。
社内のほとんどの人がSQL書けちゃったりします(参考記事)。 もちろんエンジニア以外の人もです。
他には、月に一度の TechDayでは、エンジニア・非エンジニアが日頃の業務の非効率をテクノロジーで解決するというイベントがあります。非エンジニア同士がGASがどうだとかSlackのbotがどうだとか議論したりするんです。僕より遥かにGASに詳しい非エンジニアがかなりいます。これは少し悔しい。

上記は一例ですが、こんな感じで企業文化がマッチすれば、楽しく働けることは少なくとも僕は保証しますので興味ある方は、データアナリストに限らず応募してください!!:)

https://kanmu.co.jp/jobs/