エンジニアによるFintech法律勉強会を開きました

はじめに

ソフトウェアエンジニアの hata です。先日、カンムが提供するプロダクトの一つ、 Pool を取り巻くFintech法律勉強会を開きました。

pool-card.jp

金融は最も規制が厳格で複雑な分野です。金融サービスは、複数の法律から最適な組み合わせを選ぶことが競争優位になりえます(ルールに内在する「余白」を正しく理解し、自らのビジネスに最大限有効・有利に活用するという発想)。

Poolは、他にあまり見ない、投資・決済が一つになったサービスを提供しており、その法的構成も非常にユニークです。

ただし、その法的構成のユニークさから、Poolがどのような法律を組み合わせたプロダクトであるのか、非リーガル関連職のメンバーにとってはとっつきにくい内容となっています。社内に勉強できる資料はいくつかあるのですが、初学者向けにまとまった内容になっていませんでした。

そこで、Poolをとりまく法規制を整理し、非リーガル関連職でもスムーズに理解できるように勉強会を開くことにしました。

なぜソフトウェアエンジニアが法規制について学ぶ必要があるのか

  • 法規制の知識がないと、画期的なプロダクトの改善施策を考えたとしても、その案が今の法的構成では実現不可能な場合があります。法規制について良く知ることで、やってはいけないことを回避できることはもちろん、逆に規制を活用したアイデアが議論の中で生まれるかもしれません。
  • ソフトウェアエンジニアリングは、与えられた制限の中での最適解を見つける活動でもあります。法規制やレギュレーションはその制限の一つであり、それを理解しソフトウェアに落とし込んでいくことでエンジニアとしてのスキルも上げられると考えています。

つまるところ、エンジニアがドメイン知識を身につけることで賢くなると、エンジニア自身もチームも嬉しい、というわけですね。

社内にあるホワイトボードの図を借りると、Fintechに関わる法律をプロダクトに関わるメンバー全員が勉強することで「いこうぜ」と「わーい」の第一象限に当てはまるということです。

社内ホワイトボードに描かれたMECEについての図

勉強会の開催にあたり、気をつけたこと

法律分野の用語や法的整理は非常にナイーブです。JavaJavaScript が異なるように、曖昧なまま理解をすると非常に危険です。金融サービスを作っている以上、法律の誤用は最悪の場合ユーザーの金融資産への侵害につながります。

私はあくまでソフトウェアエンジニアなので、間違った解釈を広めないよう、勉強会に使う資料は事前にリーガルチームにチェックしてもらいました。また、勉強会にも同席してもらい、私が誤ったことを口走ろうものならツッコミを入れてもらうようにしました。

実際の様子

勉強会の様子。弊社はリモート組織なので、Google Meetにて開催。

内容的に全てを公開することはできませんが、以下のような構成で行いました。

  • Pool の各機能(ウォレット・決済・投資)を取り巻く法規制(例:資金決済法、割賦販売法、金融商品取引法)の整理
  • 各法律に関するライセンス(前払式支払手段、第二種金融商品取引業)の解説
  • サービス全体を取り巻く法規制(犯罪収益移転防止法)
  • Poolの機能に関する法的な観点をQ&A形式で掘り下げ

以下は、勉強会の資料の一部です。

おわりに

元々は、Pool のメンバーが増えてきたこともあってオンボーディング的にやろうとしたのがきっかけでした。勉強会参加者の方々からは、好意的な感想をもらえたのでよかったです。

単発の勉強会で限られた時間で全てを理解するのは難しいとは思うのですが、今までは勉強するためのとっかかりすらなかったので、後学のために資料を残す機会を作れたのは個人的に良かったなと思っています。

カンムではソフトウェアエンジニアを募集しています。ソフトウェアエンジニアリングにとどまらず、Fintech最前線に立ってあらゆる知識に触れる機会があるおもしろポジションです。少しだけでも話を聞いてみたいという方でも大歓迎なので、ぜひカジュアル面談でお話ししましょう。

herp.careers